運送会社にとって、常に気にかかるのは原油価格の動向である。今朝の日経新聞は取協商品取引所の原油先物が上昇し、2か月ぶりの高値をつけたと報じている。
当社のような石油製品を運んでいる会社にとっては、原油価格は3つの意味で重要だ。
一つは当社にとってのコストである。タンクローリーなどトラックの多くは軽油を動力源として走っている。軽油価格が上昇すればコストアップ、価格が下落すればコストダウン。顧客によっては軽油価格の動向を運賃に反映していただいているところもあるが、すべてがそうではない。原油価格の上昇は目先の経営を考えれば嬉しくないニュースである。
二つ目は石油製品の売れ行きに影響するからだ。私も普段、車で移動することが多いが、ガソリン価格が上がっていると給油が億劫になる。通勤は仕方ないにしても、レジャーなどで遠出するのは控えようかなという気分になる。世間でも同じような方は多いようで、石油製品の価格が上がるとガソリンスタンドの売り上げは下がるし、価格が下がれば売れ行きが良くなる。特にゴールデンウイークとか、お盆とか、正月休みの時期は顕著だ。
石油製品の売れ行きが良くなれば当社としては忙しくなるし、売れ行きが芳しくなければ仕事が減る。その意味でも原油価格は安ければ安いほどありがたい。
一方で、逆方向に触れるのが三つ目の意味だ。原油価格の下落は当社の荷主である石油元売り会社の利益を圧縮する効果があるからだ。昭和シェル石油は昨日、2019年3月期の連結純利益を従来予想より750億円も下方修正した。従来予想の1000億円を75%も引き下げたのだ。原油価格が下がると利幅が縮小することもあるが、何より大きいのは在庫評価損を計上しなければならないこと。荷主の業績が悪化すれば運賃への悪影響もありうるため、その意味では原油価格の下落はありがたくない。
そんな3つの要素が絡むため、複雑な気分ではあるが、上がった、下がったというニュースを見るたびに一喜一憂する日々である。原油価格に左右されない、盤石な経営基盤を築かなければと思う今日この頃だ。
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