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  • 山本洋一

「がむしゃら」許されない、働き方改革への疑問

 日本経済新聞が1面で連載している「働き方進化論」。今朝の朝刊に掲載されている第1部の5回目は、残業時間の上限規制への疑問が描かれている。


 シンガポールで会計事務所を立ち上げた日本人男性が、日本企業の労働時間削減に疑問を呈している。シンガポールでは規制が緩く、幹部候補生ががむしゃらに働き成果や昇進を勝ち取るのだという。自らも若手のころからがむしゃらに働き、現在の拠点をゼロから立ち上げた。


 上限規制を決めた際の厚生労働相だった塩崎恭久衆院議員も当初は悩んだという。「働きたい人まで規制していいのか」。私は今も「働きたい人まで規制すべきではない」と確信している。


 私もサラリーマン時代、がむしゃらに働いた。今では考えられない数字だが、月の残業時間が250時間を超えたこともある。それでも充実していた。言われたからではなく、自分の意志で働いていたから、心身を壊すこともなかった。


 もちろん、会社が長時間労働を強要すべきではない。電通の過労自殺など、痛ましい事件は繰り返されるべきではない。しかし、かといって全国、全労働者のがむしゃらに働く権利を奪っていいのだろうか。世界有数の富める国から、今では生産性が最も低い先進国になったというのに。受験勉強などで失敗し、がむしゃらに働くことでチャンスをつかもうとする若者の権利を奪っていいのだろうか。


 一方で、副業を推奨するというのもいかがなものか。給料が足りないから、夢のために稼ぎたいからという労働者は、本業だけでは足りずに副業にいそしむ。結局は長時間労働になるのだが、一つの会社で働くより確実に効率は悪くなる。誰のための、何のための働き方改革か、よくわかない。


 決めてしまったことは覆すことはできない。せめて、施行後に浮き彫りになった課題には柔軟に対応して欲しいと心から願う。

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